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(3)名古屋市営地下鉄名城線

◆概要

 名城線の原点は、年月の栄町(現在の栄)−市役所間の開通から始まった。その後徐々に延伸し、大曽根→名古屋港と大曽根→新瑞橋という運行形態がしばらく続いたが、大曽根−砂田橋間開通、砂田橋−名古屋大学間開通、新瑞橋−名古屋大学間開通を経て、ようやく2004年10月6日に名城線の環状化が実現した。駅数は28駅となり、中心市街地や市役所、大学、病院を結ぶ重要な路線となった。
 本来名城・名港線は、大曽根〜金山〜名古屋港の2号線と大曽根〜名古屋大学〜金山の4号線で構成されている。1969年4月から環状化前までは2号線のことを名城線と名乗っており、大曽根−新瑞橋間の工事は4号線として建設された。しかし路線名が混同することから、環状化した時に環状部の26.4kmを名城線、分岐部の6.0kmを名港線と愛称を変更した。


◆運行形態

 金山〜栄〜大曽根〜本山〜新瑞橋〜金山と進むのが右回り、金山〜新瑞橋〜本山〜大曽根〜栄〜金山と進むのが左回りと呼ばれている。日中は環状運転する電車と、大曽根−名古屋港間で折り返し運転する名港線直通の電車がある(ドームでの試合・イベント開催時にはナゴヤドーム前矢田まで延長)。一周は約50分で、山手線より一回り小さい。名城線の左側の駅では5分間隔なのに対し、右側の駅では10分間隔となる。その他深夜帯には、金山行き、名古屋大学行き、新瑞橋行き、瑞穂運動場東行きなど、日中見慣れない行き先が運転される。これらは次の日の始発電車となる。 駅や車内の案内表記は、名城線(右回り)、名城線(左回り)と表記され、向かう方面を駅名で表現しないので、方向が多少分かりにくい(写真11)。途中止まりの電車は他路線同様に、その行き先の駅名を表記する。




写真11 名城線発車案内LED


◆車両

 環状運転してからは全て2000形に統一されている(写真12)。かつての名城線は全体が黄色で紫色の帯が入った1000・1100・1200形が主役であったが、完全冷房化のために2000形に代替廃車された(写真13)。置き換えられた1000形の一部は、福井鉄道や高松琴平電鉄、ブエノスアイレスの地下鉄Subteで第二の人生を歩んでいる。なお延伸時の増備車も2000形であり、長期に渡り製造されていることから、バリエーションも様々あるようだ(写真12)。平成7年から増備された車両は、車端部のLED表記以外に、ドア上の路線図に位置を把握できるように点灯式になった(写真14)。1編成6両、計36編成が名城・名港線で活躍中である。開通時からATC(車内信号式自動列車制御装置)を採用している路線でもある。




写真12 名城線2000形




写真13 名城線1200形




写真14 2000系ドア上の名城線案内表示器


◆その他

 環状化1周年の企画として、接近メロディーにJR東日本でよく使われている櫻井音楽工房の4曲が名城・名港線で採用された。これらのメロディーは試験導入であり、採用期間は1年半と短かったが、今後のメロディーサインのきっかけであった。採用当初は、関東人が関東で耳にするメロディーであるので、それを聴いて慌ててホームに降りたが、まだ電車が入ってくる前だったということもあったらしい。2007年3月19日からは名古屋市の地下鉄全路線(上飯田線を除く)において、名古屋市立大学芸術工学部の水野みか子助教授が制作した、オリジナル接近メロディーが導入された。これに伴い、櫻井音楽工房の曲は使用が終了した。



(4)JR大阪環状線

◆概要

 一般的に大阪環状線は、大阪駅を起点(終点)とする21.7kmのJR西日本の路線である。「JR 線路名称公告」では新今宮−天王寺間1.0kmは関西本線の重複区間とし、JR西日本のデータでは今宮−新今宮間1.2kmを関西本線とするケースもあり、前者でとられることが多いようだ。山手線に比べると一周半分ぐらいしかない。


◆運行形態

 駅数は19駅で、環状運転する路線では短い。山手線と異なり、多種の車両が乗り入れ、特急の通過電車もある。桜島線、関西本線、阪和線などに乗り入れ、車種も多い。大和路快速、関空快速、紀州路快速といった列車も運行されるが、関空快速、紀州路快速は天王寺−大阪間各駅停車である。大阪のアーバンネットワークとして重要な路線である。


◆車両

 大阪環状線はオレンジ色の103系、201系が基本であるが、直通運転する221系、223系も使用される。編成は基本8両で、車両の入れ替え時にはウグイスやスカイブルー、オレンジなど混合編成が見られることもあり、ファンには楽しい路線かもしれない。103系はリニューアル工事を受けて活躍しているが(写真15)、現在は京都・神戸線から転入してきた201系により置き換えが進んでいる(写真16)。以前は101系も活躍していたが、1991年のATS-P使用開始時に引退した。




写真15 大阪環状線103系




写真16 大阪環状線201系


◆その他

 以前、ホームに番線番号が付いておらず、案内放送も島式では「内回り線に・・・」「外回り線に・・・」、対向式では「このホームに・・・」といった感じであった。2008年3月に環状線内ホームにすべて番号が割り振られた。発車メロディーは2003年まで使用されていたが、駅停車時分を短縮するために、全駅廃止された。



3.おわりに

前回は駅を中心に紹介したが、今回は主に路線に注目して車両等を紹介した。やはり日本の三大都市で環状線が運転されていることから、その都市での顔となっている路線である。





 
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